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の溶存は認められるものの、水質汚濁にかかる規制基準物質は検出されず、生物毒性試験の結果についても有害作用は検出されていない。
第五に、焼却処理に伴って生ずる火炎からの熱放射、熱気流、煤にもとづく人や物への危険性についても検討を行ったが、もともとこの焼却処理手法ばムース化した油面を区切って順次焼却処理するもので、大面積を一度に燃焼させるものでないことから安全度は高いと言える。本調査研究ではこれらの危険性を評価するための理論的な式を導いた。この結果を使えば、現場の状況に応じて、安全かつ最適な焼却処理面積を求めることができる。
第六に、ムース化油の焼却処理手法は、現状の資機材及び人員を動員した回収方法及び油処理剤散布による分散処理方法と比較しても、ムース化油を現場から運搬する必要がないこと、回収油の最終処理を要しないことなど経済的な処理手法であると考えられる。現状の油防除手法は、ムース化が進み高粘度化した大量の油に対しては、多くの人員・資機材及び時間をかけざるを得ず、結果的に経済面・効率面での大きな問題を抱えている。
最後に、今後、実際の運用にあたっては、地元自治体、漁業組合等の理解と協力を得ながら実施することが必要となるが、海上における実践を通じて問題点の抽出、技術の改良が重ねられ、焼却処理技術を高めることが望まれる。

 

 

 

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